私の考える政策。石川くみ子

石川くみ子の考える政策【その1】

まちづくりについて

まちづくりについて

世田谷区内では、下北沢や三軒茶屋をはじめ再開発事業が進んでいます。

しかもその是非、賛否をめぐって住民が分断されていく動きが顕著です。本来、住民を統合するのが政治の最大の役割であるはずですが、情けないことにそれとは逆の現象が起こっています。

とりわけ下北沢の再開発に関しては、せっかく「歩き回れる街」として人気のまちなのに、広い道路を通して駅前商店街を分断し駅ビルを建て、あたかも「どこにでもある地方都市のターミナル駅」にしようとするかのような計画が実行されようとしています。このような計画に対しては、反対せざるをえません。

再開発というと、一般に容積率緩和で高度利用地区にして駅前に高層マンションや商業施設を乱立させるというパターンが目立ちます。そのことが必ずしも街の魅力を高めることには直結しません。逆に容積率を厳しくして低層地域にし、散歩が楽しいまちを目指してもよいのではないでしょうか。

東京の人口のピークは、2020年といわれています。現在、人口増加中の世田谷区の人口ピークは、それより若干遅れると見込まれています。しかし、それでも永遠に人口が増え続けることはありません。ピークを迎えた人口は、必ず減少に転じます。建ててしまった巨大道路や「箱物」の維持・管理・修繕コストのみならず、将来の分割支払いを選択した我々が本来払うべき建築費を払うのは未来の子どもたちです。

子どもたちにツケを回さないよう、道路と高層再開発を誘導する小田急線の「連続立体交差事業」や京王線の同事業を見直すべきなのです。そして地域の意向を取り入れた、真に住民主導のまちづくりを行い、徹底した既存施設、遊休施設、空き家の活用などによるまちの活性化を提言します。

東日本大震災は、脱原発・脱被曝と自然との共生がこれからの社会にとって最重要であることを教えてくれました。緑被率の低下を食い止めて環境を守り、自然と共生できるまちづくりを始めたいと思います。

石川くみ子の考える政策【その2】

保育について

保育について

2014年8月時点の世田谷区の待機児童数は1109人、来たる2015年4月の待機児童数はそれを上回る人数になることが予想されています。子どもが保育園に入れないという理由で退職せざるをえなかったり、厳しい家計状況でギリギリの生活を送らなければならなかったりする家庭が出てしまうことに、胸のふさがる思いがします。

学校に通えない「待機小学生」「待機中学生」はいないのに、なぜ保育園に入れない「待機児童」が発生するのでしょうか。それは、小学校は義務教育であり子どもの教育を受ける権利、親の子どもに教育を受けさせる権利が保障されているのに対し、子どもの保育を受ける権利、親の子どもに保育を受けさせる権利が保障されていないからです。

児童福祉法第24条には「市町村は、保護者の労働又は疾病その他の政令で定める基準に従い条例で定める事由により、その監護すべき乳児、幼児又は第三十九条第二項に規定する児童の保育に欠けるところがある場合において、保護者から申込みがあつたときは、それらの児童を保育所において保育しなければならない」と明記されており、地方自治体には保護者からの申し込みによって子どもを保育園に入れなければならないと定めています。

しかし待機児童問題が発生するなかで「ただし、保育に対する需要の増大、児童の数の減少等やむを得ない事由があるときは、家庭的保育事業による保育を行うことその他の適切な保護をしなければならない」という「但し書き」が付設され、現在はこの「但し書き」が拡大解釈されている状況です。

たとえば、日本と同様に男女の性別役割分業意識が強いドイツにおいては、1996年に「児童・青少年扶助法」が成立し、3歳以上6歳未満の子どもが幼稚園や保育園に通う権利が明記されました。この法律は2013年に改正され、1歳以上6歳未満の子どもの保育園に居場所を得る権利が明記されました。

このため、ドイツでも0〜3歳児を中心に保育園不足が深刻化し、待機児童問題が発生しました。けれども、2013年9月に保育園充足率が7〜8割だったにもかかわらず、ドイツは2014年3月に待機児童ゼロを達成しました。この迅速な対応の背景に、法律によって子どもが保育園に居場所を得る権利が保障されている以上、行政はそれを遵守しなければならないという意識があり、行政の対応を後押ししたのです。

子どもたちには選挙権がありません。保育を受ける権利、放課後の居場所を確保する権利、同世代の子どもたちとの遊びと学びの権利を世田谷区独自の子ども条例を制定することによって保証するのが、我々大人の役割ではないでしょうか。そしてこれらの子どもの権利を保障する条例ができれば、行政も迅速な対応をせざるをえなくなります。

しかしその反面、東京都の人口のピークは2020年とされています。人口が増え、子どもの数が増えている世田谷区であっても待機児童問題のピークはせいぜい2025年頃とされています。そのために用地取得等に補助金を投入して新規保育園建設をしても、10数年後には施設が余ってしまいます。

また労働力不足と資材不足・高騰の折に新規建設をした場合、開園までは2年以上かかってしまい、いま目の前にいる待機児童を減らすことにはなかなか結びつきません。潜在保育士やボランティア、既存施設、遊休施設、空き家を徹底的に活用して実効力とスピードのある待機児童対策を行うことが必須となるのです。このための具体策を現場の声、保護者や子どもたちの声を聞きながら提案していきます。

そしてそのために必要なのが、保育時の事故等の際の補償です。0〜2歳児を預かる少人数「地域型保育」を無認可から認可保育所に移行するのが2015年4月から施行される「子ども・子育て支援新制度」の目玉でもあり、待機児童対策に有効です。

その関連法は2012年成立ですが、スポーツ振興センターの災害共済給付が、事故発生率が不明という理由で4月から認可移行の地域型保育適用されないと報道されています。このような共済制度を迅速に制定することが必要であり、制度の不備に現場の保育士さんや保護者、なによりも子どもたちが振り回されてはならないのです。そのような制度設計を行うのが、住民と行政をつなぐ区議会議員の重要な役割のひとつです。

石川くみ子の考える政策【その3】

教育について

教育について

「子育て支援」とは、子どもの幼少期に限定されるものではありません。どのような家庭に生まれたとしても健全な「育ち」を保証し、教育を身につけ、将来の納税者として自立できるようにするのが息の長い真の「子育て支援」であるはずです。

そのための総合的な「世田谷教育」をブランド化・モデル化して発信していきます。そのなかには、世田谷野菜による食育や給食、農園体験なども組み込まれていくべきだと考えます。また平和教育の一環として、せたがや平和資料館を中心とした語り部育成やアーカイブ作成なども提案していきます。

また、大人の都合でボール遊びや木登り等に制限がかけられて遊具が撤去され、子どもたちが自由に遊ぶことのできない公園の「規制緩和」を行い、子どもたちの自由な発想に基づく遊びができる魅力ある場にすることも提言します。しかもそのような公園には、園舎のない保育園の子どもたちが優先的に遊べる場所・時間帯を設けることも検討したいと思います。

さらには、子どもの安全・安心を保証するのも大人の責務です。世田谷区は区民の健康を守る義務を負っています。福島第一原発事故を経た現在、脱原発と合わせて脱被曝を追求することも区の重要な責務です。それにもかかわらず、川場移動教室として、除染対象地域である群馬県川場村に毎年5000名を超える小学生を連れていっています。放射線に敏感な子どもたちの被曝を防ぐことは当然のことです。

子どもたちが自然に親しみ集団生活を体験することは、成長にとって必要なことです。一律に移動教室を中止するのではなく、除染対象地域での移動教室実施を中止し代替地開催に切り替えることを提案いたします。これに加え、現在世田谷区では年1回、若林公園の空間線量観測が行われるのみですが、公園や保育園、幼稚園、小中学校等での定期的な放射線量観測や核種分析も行うよう提案していきます。

教育には問題が山積しています。わたし自身がそうですが、博士号を取得して専門家としての資格を得ながら、大学教員の職がなく非正規雇用のままで将来展望どころか日々の生活に頭を悩ませる人びとが多数存在しています。

この問題は、たんなる「勝手気ままに大学院に進学して好きな勉強をしていた人たちの身勝手な問題」ではありません。将来は教育者として学んだ成果を社会に還元したいと願い、奨学金という名の借金を背負って高い学費を負担し地道な努力をしてきた若者が、教育行政の都合で大学のポストが減らされていくなかで社会から切り捨てられているということであり、日本が教育を軽視する国家であるというメッセージを発することに他ならないのです。このような若手の博士号取得者を教員やスタッフ採用し、研究者のワークシェアリングを実現することができないでしょうか。

また奨学金制度の不備や学習塾・予備校への依存度が高いことにより、経済格差が教育的格差に直結する傾向も強まっています。大学の事務から「学生が購入できないので、1500円以上の本を教科書に指定しないで下さい」といわれることも、今や珍しいことではありません。

大学入試準備のために塾や予備校に通う費用が賄えて、大学の学費支払いができる家庭環境にある学生ですら、この現状なのです。それらが賄えずに大学進学を断念する高校生が少なくないであろうことは、想像に難くありません。そしてこの家庭の教育費負担が、少子化の一因ともなっています。

このような現状を解決すべく、これまで高校・専門学校生向けの制度しか用意されていなかった世田谷区の大学生向け奨学金を創設したり、日本学術支援機構の第二種奨学金の利子分の負担を行ったりするための制度を充実させていくべきだと考えます。さらには、塾に通わずとも一定程度の学力を保証するための、宿題・学習指導つき放課後預かり制度を設けたいと考えています。

大学進学は、もはや「贅沢品」ではありません。現在でも、大学卒業程度や一般教養課程修了程度などを条件とする資格は多々あります。大学教育を受けることには、職業教育・職業訓練としての一面もあるのです。

世田谷区は88万人の人口と、東京23区でも屈指の良好な財政基盤を持っています。さらに、教育特区として区立小中学校で「日本語」という教科を導入するなど、教育に関する熱心さで知られています。

そこで、世田谷区を「保育・教育特区」にし、実効性のある保育(待機児童対策を含む)・教育を行い、既存施設・遊休施設・空き家と若手博士号取得者やボランティアによって、コストをかけずに大学卒業資格を得られる「世田谷区民大学」を創設し、「世田谷モデル」として発信していきたいと考えます。

世田谷区民大学の設立

1. 教育特区制度等を活用し、修了年限を撤廃し、
     区民が誰でも無料で通える正式な「大学」に

2. 区内各所の区民センターや集会所、
     空き家活用事業等とIT技術を活用した遠隔授業モデルに

3. 若手博士号取得者をスタッフ・教員採用し、研究者のワークシェアリングモデルに

4. 保育や補習・宿題指導付き放課後預かり、
     区民サークル活動と組み合わせ多世代交流拠点に

5. 世田谷の農業・ものづくりの技術継承拠点にし、食育センターに

6. 施設内飲食を可能にし、ボランティアスタッフによる調理指導や会食の場に

7. 教務課に「よろず相談窓口」を併設し、アクセスしやすい区役所出張所に

☆「食事ができる」教育・保育・預かり機関、
     ボランティアセンターとして皆の「育ち」の場に

石川くみ子の考える政策【その4】

福祉について

福祉について

今年2015年4月から介護保険法が改正されます。「地域包括システムの構築」、「利用者負担の公平化」を目的とした改正ですが、国から自治体に介護予防(要支援)が移行しただけではなく、厚生労働省が明確に介護費用を削減すると決めています。この改正がどのように影響を及ぼしていくのか、現場の様子を見て対策を講じていくことが必要になります。

しかし逆にいうならば、世田谷区のように比較的予算に余裕のある自治体は、独自色を出せるというメリットもあります。すでに医療においては、予防に力を入れることによって将来のコスト増を防ぐという予防医療が主体となっています。この考え方を継続させ、自治体で介護予防に個性をつけていくことが可能となるのです。そこで、世田谷区はこれまでの介護予防サービスのレベルを落とさないという方針をとるべきだと考えます。

現在、要支援1、2の方の半数以上が受けている通所介護や訪問介護サービスが、今後は予防給付の対象外となります。介護予防に関して予算の少ない自治体では、株式会社の介護予防訪問介護、介護予防デイサービスは採算が合わなくなればすぐに撤退するという方針を打ち出しています。予算が少なくても介護予防を支えられるのは社会福祉法人もしくはNPO法人のごく一部くらいでしょう。

今回の制度改正により、介護保険の対象とならなくなった要支援者が居宅介護支援事業所から地域包括に戻され、地域包括の現場がパンク状態になることが予想されています。このような状況で、新たな受け皿になるのは各市町村と地域のボランティアとなりますが、4〜5人程度で日常のケアを担っている地域包括ケアマネージャーにその統括を担当させることになれば、ケアマネージャーの仕事量が膨大な量になりかねません。

そこで現場の声を聞きながら介護保険制度改正に対応してボランティアを導入し、世田谷区の実情に合った新しい地域包括ケアシステムの制度設計を行っていきます。日本で最初に、介護分野でも「世田谷モデル」を打ち出していきたいと考えています。